俺の、となりにいろ。


「でも君もいい年でしょ。まあ、ここじゃいろいろあったから恋人は…」

なに、セクハラ紛いのこの言葉は。
まさか、七年前の仕返し?

また理不尽なことを言われるのではないかと思い、ギュッと目を閉じた時。


「松坂さん、こんなところにいたのか」


と、宇田支店長の後ろから声がした。

ハスキーなその声に足の震えがなくなり、私は顔を上げた。

──桐谷秀人。

彼は宇田支店長の隣に立ち、私に顔を向けたまま、備品依頼書を手にヒラヒラさせていた。

「昨日頼んだ備品を受け取りたいんだけど?」

不機嫌そうな表情をして、切れ長の瞳は私を見て宇田支店長へと動いた。
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