俺の、となりにいろ。

「てか、なんで四階じゃなくて五階のトイレを使うんだよ?別に四階は使用禁止ってわけじゃないだろ?」

ごもっともな質問に、口篭る。

「それは…前は四階を使っていたのですが…」

「ですが?」

桐谷秀人は、その先を促してくる。
本当は言いたくない。あんなこと。

しかし彼はじっと、私の顔に穴が空くくらい見つめてくるので、仕方なく話すことにした。

「…二年ほど前から個室から…その、変な声が聞こえるようになったので、怖くなって使うのをやめたんです…」

「変な声…?」
と、桐谷秀人は何かを考える感じで、眉間にクッとシワを寄せた。

一時的とはいえ、いろいろな不安や緊張が解かれたのか。

──ぎぎゅううるるる〜〜……。

私のお腹の虫が、盛大に鳴り出したのだった…。
< 25 / 161 >

この作品をシェア

pagetop