俺の、となりにいろ。
「てか、なんで四階じゃなくて五階のトイレを使うんだよ?別に四階は使用禁止ってわけじゃないだろ?」
ごもっともな質問に、口篭る。
「それは…前は四階を使っていたのですが…」
「ですが?」
桐谷秀人は、その先を促してくる。
本当は言いたくない。あんなこと。
しかし彼はじっと、私の顔に穴が空くくらい見つめてくるので、仕方なく話すことにした。
「…二年ほど前から個室から…その、変な声が聞こえるようになったので、怖くなって使うのをやめたんです…」
「変な声…?」
と、桐谷秀人は何かを考える感じで、眉間にクッとシワを寄せた。
一時的とはいえ、いろいろな不安や緊張が解かれたのか。
──ぎぎゅううるるる〜〜……。
私のお腹の虫が、盛大に鳴り出したのだった…。