俺の、となりにいろ。

小さめのおにぎりが三つ。

ゆかりを混ぜて、中身はそれぞれ梅、鮭、昆布が入っている。
二つ目のおにぎりを食べていると、桐谷秀人の視線が残った一つのおにぎりを見つめていた。

「…もしかして、お昼、まだでしたか?」
と、控えめに聞いてみた。

彼は私にチラリと視線を寄越して、
「ああ。さっきまで設計と打ち合わせだったから」
と、元の落ち着いた声で話してくれた。

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