俺の、となりにいろ。
「本当か?」
俺は震える声で聞く。
紺野は「ああ」と答える。
──やっと、見つけた。
俺は、深くゆっくりと深呼吸した。
「設計部は長く勤務している人が多いからね。でも、聞き出すのに苦労したよ。何せ、彼女の名前には、暗黙の「箝口令」が敷かれていたんだから」
は?箝口令?
初めて聞くことに、俺は紺野の電話に眉を潜める。
「桐谷、聞いてる?俺もまだ仕事だから今は詳しく話せないけど、お前が帰ってきたら必ず話すよ」
と、紺野ね口調が速くなる。
「とにかく、彼女は本社にいる。まだ彼女を想っているなら、絶対会えるから」
そう言い残して、通話が切れた。