俺の、となりにいろ。

「私、絶対に桐谷課長を退屈させません。一緒にいて、絶対楽しいと思ってもらう自信がありますから!」

迫ってくる女に、俺は後ずさりして背中が自販機に当たった。

今まで断ってきた女の中で、一番面倒くさいタイプだ。

近くで様子を見ていた紺野へ目を向けると、彼も呆れた顔で首を横に振る。
俺は大きくため息を吐いて、そのいろいろと残念な女を見た。

「俺は知らない女の誘いに乗るほど、おめでたい人間じゃない」

初対面だった、たった一人の女を除いて。

「自信を持つ女は嫌いじゃないが、身の程を知らない図々しい女は範囲外だ」

まあ、いきなり俺を家に連れ込んだ、アイツは別だがな。

「面倒くさい上に香水のキツい女は一番嫌いだ。誘いたきゃ、他の男を当たれ」

アイツは香水がなくても、体から放つ甘い香りが俺を狂わせる。

ああ、早く会いたい。
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