俺の、となりにいろ。
今すぐ抱きしめたい。
「この女は俺のものなのに」と勝手に思いながらも、彼女に触れようとする手をギュッと抑えて、その手を自分に不必要なカートの中へ伸ばしていく。そして、自分が何を言ったかさえ覚えていないくらい、頭の中はパニックだった。
紺野のデスクに製図用紙を軽く放り投げる。
奴は俺の顔を見るなり、フッと優しく笑った。
今になって、何度も大きく深呼吸をする自分に気づく。
「彼女のICカードみた?」
「…ああ。「松坂」になってた」
「会えてよかったね」
「…ああ」
「今度は自分から備品室へ行ったら?」
「…ああ」
そうか。だから朝から俺をここへ呼びつけたのか。
嬉しいじゃないか。
次回のコイツの飲み代は俺が払ってやろう。