クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
「王女様、大丈夫ですか?」
声をかけると、青ざめた顔からは想像できない程のしっかりした声が返って来る。
「これくらい平気よ。身体が丈夫なら何てことは無かったわ。あなたは腰が抜けてしまったようだけど」
「はい。安心したらつい」
「さっきの強気な態度はどうなったのよ? 私は騎士団長リカルドの妻って豪語していたじゃない」
「あ、あれは、はったりです。本当は怖くて倒れそうでした」
正直に言えば、エルドラ王女は呆れたような顔をして、それから楽しそうに笑い出した。
「なにそれ。おかしな人ね」
「そうでしょうか」
「そうよ。あんな非常事態にはったりなんて。しかもどうして普通のときには何も言えないのよ」
上手く答えられずにリアナは黙り込む。
いざという時だからこそ普段は出ない力が湧いて来るのと思うのだが、エルドラ王女は違うらしい。
「どうしたの?」
「いえ……」
「はっきりしないわね。あら、リカルド」
エルドラ王女の声に、リアナは勢いよく顔を上げた。
いつの間にか夫がすぐ側まで近づいて来た。
彼は固い表情をしており、あきらかに不機嫌そうだった。
(お、怒ってる?)
それもかなり激しく。
エルドラ王女を危険な目に遭わせた敵に対しての怒りが抑えきれないでいるのだろうか。
声をかけると、青ざめた顔からは想像できない程のしっかりした声が返って来る。
「これくらい平気よ。身体が丈夫なら何てことは無かったわ。あなたは腰が抜けてしまったようだけど」
「はい。安心したらつい」
「さっきの強気な態度はどうなったのよ? 私は騎士団長リカルドの妻って豪語していたじゃない」
「あ、あれは、はったりです。本当は怖くて倒れそうでした」
正直に言えば、エルドラ王女は呆れたような顔をして、それから楽しそうに笑い出した。
「なにそれ。おかしな人ね」
「そうでしょうか」
「そうよ。あんな非常事態にはったりなんて。しかもどうして普通のときには何も言えないのよ」
上手く答えられずにリアナは黙り込む。
いざという時だからこそ普段は出ない力が湧いて来るのと思うのだが、エルドラ王女は違うらしい。
「どうしたの?」
「いえ……」
「はっきりしないわね。あら、リカルド」
エルドラ王女の声に、リアナは勢いよく顔を上げた。
いつの間にか夫がすぐ側まで近づいて来た。
彼は固い表情をしており、あきらかに不機嫌そうだった。
(お、怒ってる?)
それもかなり激しく。
エルドラ王女を危険な目に遭わせた敵に対しての怒りが抑えきれないでいるのだろうか。