クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
リアナにはまだ当主代行が出来る程の知識がない。

元々貴族の当主夫人になる予定はなく、騎士の妻になる予定だったので、領地経営など学ぶ必要が無かったからだ。

リカルドとの結婚が決まってから勉強しているが、まだ実践できる域に達していない。

(もっと勉強して少しでも早くリカルド様の力にならなくちゃ)

まずは今日の夜会で、ベルグラーノ伯爵夫人としてしっかりとした振舞いをしなくては。

気を引き締めて、自室に戻り夜会の準備に取り掛かった。



初めて袖を通す薔薇色のドレスは、リアナにとてもよく似合っていた。

顔色が良く見え、リアナの健康的な美しさが引き立っている。

結い上げた髪には、リカルドの瞳の色を意識した紫水晶の髪飾り。

自分の容姿に自信がある方ではないが、普段よりも華やかに着飾ると気持ちが弾む。

リカルドは軍服ではなく、夜会用の黒のイブニングコート姿だった。

銀糸で装飾されたベストとタイ。カフスは紫水晶。

普段は無造作に下ろしている前髪が上げられている為、形の良い額と男らしい眉、意志の強そうな瞳がよく見える。

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