クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
何気無く聞いただけだが、リカルドは鋭く反応してぴくりと肩眉を上げた。

微笑みは消え探るような目でリアナを見る。

「なぜだ?」

「え? なぜって……ただ親しいのか気になったので。王妃様はディエス公爵家の出身で、第三王女殿下とリカルド様は従兄妹同士になりますから」

それ程おかしなことを聞いただろうか。

リカルドの反応に戸惑い、リアナは首を傾げる思いだった。

「あの、王女殿下と何かあるのですか?」

リアナは第三王女と直接言葉を交わしたことが無い。
夫の従兄妹と言えど、王族は雲の上の存在だ。

でも、リカルドは何度も顔を合わせているだろう。

(実は仲が悪いとか?)

「何もない。エルドラ王女は身体が弱く離宮で静養していることが多い為、滅多に顔を合わせないんだ」

夫の言葉に相槌を打った。そう言えば第三王女は病弱と聞いた記憶がある。

(だから、滅多にお出ましにならないのね)

「お身体はもう大丈夫なのでしょうか?」

「そう聞いている」

「健康に不安があるのに他国へ嫁ぐのは心細いでしょうね」

王女の義務とはいえ、気の毒だと思う。しかしリカルドは関心が無さそうに「そうだな」と素っ気なく答えそれきり黙り込んでしまった。

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