クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
理由は分からないが第三王女の話は良くないのだと察し、それ以降は話題を変えた。

リカルドの表情も穏やかに戻り楽しく会話を交わしていると、馬車が速度を落としはじめた。

窓の外に目を向けた。

正門の先に広大な石畳が続く。その先に夜でも白く輝く月光宮がそびえている。

宮殿内はまばゆい灯りに溢れ、磨き抜かれた幅広の廊下を貴族達が進んでいく。

大広間には既に豪奢な衣装に身を包んだ人々が溢れていた。

(なんて盛大なの……)

リアナは圧倒されて立ち止まった。それに気づいたリカルドがさり気なく歩みを促してくれた。

「あ、ごめんなさい」

周囲を見回してもリアナのようにキョロキョロしている者はいない。

皆、とても慣れているようで堂々とした振舞いで知人と挨拶を交わしている。

リアナたちの元にも大勢の貴族が集まったが、全員がリカルド目当てだ。

出自、容姿、能力、全てが優れたリカルドは常に注目を浴びている。

その度にリアナは臆しそうになるが、リカルドがしっかり腰に手を回してくれているので安心していられた。

一通り挨拶が終わり談笑していると、突然場が静まり返った。

その直後大広間の最奥から今夜の主役、エルドラ第三王女が姿を現した。

王女は兄である王太子にエスコートされているが、その美しさに広間の貴族達は感嘆の溜息を洩らした。

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