クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
「失礼致します。ベルグラーノ伯爵様に至急のお知らせがございます」
目をやるとそこには、装飾の少ない地味なドレス姿の女性が佇んでいた。
おそらく月光宮の侍女だろう。それも王族に仕える上級侍女。
彼女が来たという事は王族、またはそれに連なる高位身分の相手からの呼び出しと思われた。
リカルドは侍女に頷いてみせてから、リアナに告げた。
「少し外すが直ぐに戻って来る。ここから動かないで待っていてくれ」
「はい。私は大丈夫ですから行ってください」
リアナはにこりとして答える。少しの間ひとりで待つくらい何でもない。
彼は心配そうな視線をリアナに向けながらも、侍女の後を追い大広間を出て行った。
ソファーでひとりのんびり座っていても、リアナに声をかける者はいない。
ときどき給仕がやって来て飲み物を渡してくれるだけ。
暇を持て余し始めたが、リカルドに動くなと念を押されている為、気分転換に中庭に出ることも出来ないまま行きかう人を眺めていた。
(リカルド様、遅いな……もしかして揉め事が起きたのかな?)
夜会に不審人物が紛れていたなど、騎士団が動かなくてはならないような事態が起きているのだろうか。
心配しはじめたとき、先ほどリカルドを迎えに来た侍女がやって来た。
彼女はリアナに目礼すると、抑えた声で言う。
「ベルグラーノ伯爵夫人。お寛ぎのところ申し訳ございませんが、別室までご足労いただけないでしょうか」
侍女の表情は険しく、深刻な空気が醸し出されている。リアナは慌てて座っていたソファーから立ち上がった。
「リカルド様に何かあったのですか?」
侍女は肯定しなかったが、「ベルグラーノ伯爵様に変わりありません。ただ少し問題が起きまして」と答えたので、心が騒めいた。
目をやるとそこには、装飾の少ない地味なドレス姿の女性が佇んでいた。
おそらく月光宮の侍女だろう。それも王族に仕える上級侍女。
彼女が来たという事は王族、またはそれに連なる高位身分の相手からの呼び出しと思われた。
リカルドは侍女に頷いてみせてから、リアナに告げた。
「少し外すが直ぐに戻って来る。ここから動かないで待っていてくれ」
「はい。私は大丈夫ですから行ってください」
リアナはにこりとして答える。少しの間ひとりで待つくらい何でもない。
彼は心配そうな視線をリアナに向けながらも、侍女の後を追い大広間を出て行った。
ソファーでひとりのんびり座っていても、リアナに声をかける者はいない。
ときどき給仕がやって来て飲み物を渡してくれるだけ。
暇を持て余し始めたが、リカルドに動くなと念を押されている為、気分転換に中庭に出ることも出来ないまま行きかう人を眺めていた。
(リカルド様、遅いな……もしかして揉め事が起きたのかな?)
夜会に不審人物が紛れていたなど、騎士団が動かなくてはならないような事態が起きているのだろうか。
心配しはじめたとき、先ほどリカルドを迎えに来た侍女がやって来た。
彼女はリアナに目礼すると、抑えた声で言う。
「ベルグラーノ伯爵夫人。お寛ぎのところ申し訳ございませんが、別室までご足労いただけないでしょうか」
侍女の表情は険しく、深刻な空気が醸し出されている。リアナは慌てて座っていたソファーから立ち上がった。
「リカルド様に何かあったのですか?」
侍女は肯定しなかったが、「ベルグラーノ伯爵様に変わりありません。ただ少し問題が起きまして」と答えたので、心が騒めいた。