クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
(リカルド様は私かいない方が都合がいいんじゃないの? それに……)

「ここに居てもリカルド様は側に居てくれないじゃないですか」

思わず漏れた言葉に、リカルドが目を瞠る。

「リアナ?」

思いがけなく彼は動揺しているようで、深刻な気配が漂いはしめる。

リアナは戸惑い気まずくなった空気を誤魔化すように、あえて明るい声を出した。

「この屋敷に残ったとしても、ディエス家に行ったとしても大して変わらないと思っただけです。だってリカルド様はお忙しくてなかなか戻れないでしょう? だったら田舎でのんびりと過ごした方がお腹の子供のためにもいいかなと……私なら大丈夫ですから心配なさらずに任務を全うして下さい」

(エルドラ王女が嫁ぐ日まで……)

リアナの決意が固いと察したのか、リカルドがそれ以上反対することは無かった。

けれどトリア行きの段取りはリカルド自らか行ない、馬車と精鋭の護衛が用意された。

二日後、リアナは屈強な騎士が守る馬車に揺られトリアの屋敷へ移り住んだ。
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