クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
「頂きます」

スープはあっさりとしていて飲みやすい。パンも柔くて美味しかった。

食べ終わるとダナが温かいお茶を淹れてくれる。

「今日は、ミラ・アリソン様がいらっしゃる日ですね」

「そうなの。お店が終わったら来てくれるって。楽しみだわ」

幼馴染のミラと居ると話題が尽きないせいか、憂鬱な気持ちを一時だけでも忘れられた。

逆にそうでない時は、常にリカルドのことを思い出してしまっていた。


リカルドの気持ちがエルドラ王女に向いていると分かっているのに、心のどこかであきらめきれていない。

今日こそ彼が会いに来てくれるかもしれないと、期待をしているのだ。

(私、失恋したのにね)

我ながら未練がましいと思うが、どうしようもない。


食後、読書をしているとダナの案内でミラが部屋にやって来た。

< 38 / 117 >

この作品をシェア

pagetop