クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
トリアに移り住み二月が過ぎた。

リアナのお腹はほんの少しだけ膨らんで来ており、確実に子供が育っているのだと実感する日々だった。

リカルドからはときどき短い文章の手紙が届いた。

それには、リアナの体調を気遣う言葉。それからなんとか時間を作りトリアに行くように調整していると書かれていた。

けれど首を長くして待っても、実際彼がトリアの領主館を訪れたことは一度も無かった。

きっと手紙に書いてあるのは社交辞令なのだろう。そう分かっていても、期待しては落胆することを繰り返していた。


ミラが週に二度ほど遊びに来てくれるので、良い気分転換になっていた。

だいたいが部屋でお茶を飲みながらおしゃべりをするだけだが、それでも楽しくて時間を忘れられる。

話題は昔話や、流行している服の話など他愛のないもの。

けれど、その日のミラは思いがけない言葉を口にした。

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