クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
『悪いが、結婚は承諾できない』

思いがけない返答にリカルドは動揺を隠せなかった。それでもなんとか気持ちを静め口を開く。

『理由を聞かせて頂けないでしょうか。至らない点があれば改善するよう努力します』

『リカルドに問題はない。むしろおまえ程の婿は今後望めないと分かっている』

『それでは、なぜ……』

困惑するリカルドに、ユベルははっきりと告げる。

『娘は騎士に嫁がせたいと思っている』

『私も騎士です』

『だが貴族だろう。それも公爵という最高の位だ。知っての通り我が家は一代限りの貴族で俺が死ねばリアナは貴族令嬢の肩書を失う。娘はいつか平民になる』

『ならばなおさら結婚が必要なのでは? 貴族と結婚しておけば身分を失うことはないのですし』

ユベルにもしもの事が有っても、自分ならばリアナを守れる。

彼女を支え、何不自由ない暮らしをさせてあげられるのだ。

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