クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
『そう畏まらないでくれ。初対面という訳ではないのだから』
式の前の顔合わせで、二度ほど会っている。それにトレド男爵屋敷での、出会いだってある。
リカルドがリアナに恋をしたあの瞬間は、今でも鮮明に覚えている。
『一年前のように笑顔で過ごして欲しい』
何の憂いもないリアナの明るい笑顔をもう一度見たい。
しかし彼女は困惑の表情になった。
『え?……一年前?』
彼女の反応に嫌な予感がこみ上げる。
『トレド男爵家の屋敷で初めて会った時のことだが』
リアナははっとしたように目を見開き、そして呟いた。
『……あ、あの時の……も、申し訳ありません。私気付いていなくて』
小さな手を口元に添え、気まずそうに視線を彷徨わせる。
リカルドはずしりと身体が重くなったような感覚に陥っていた。
まさかリアナが自分を覚えていないなんて考えてもいなかった。
結婚が決まったあと顔合わせをしたとき、どこかぎこちない態度だったが緊張からだと思っていた。
しかし実際は違っていた。リアナは未来の夫とはいえ初めて会う男を警戒していただけなのだ。
自分にとって運命とも言いたいほど強烈だった出会いが、リアナにとっては何の印象も無かったことに激しく落胆した。
式の前の顔合わせで、二度ほど会っている。それにトレド男爵屋敷での、出会いだってある。
リカルドがリアナに恋をしたあの瞬間は、今でも鮮明に覚えている。
『一年前のように笑顔で過ごして欲しい』
何の憂いもないリアナの明るい笑顔をもう一度見たい。
しかし彼女は困惑の表情になった。
『え?……一年前?』
彼女の反応に嫌な予感がこみ上げる。
『トレド男爵家の屋敷で初めて会った時のことだが』
リアナははっとしたように目を見開き、そして呟いた。
『……あ、あの時の……も、申し訳ありません。私気付いていなくて』
小さな手を口元に添え、気まずそうに視線を彷徨わせる。
リカルドはずしりと身体が重くなったような感覚に陥っていた。
まさかリアナが自分を覚えていないなんて考えてもいなかった。
結婚が決まったあと顔合わせをしたとき、どこかぎこちない態度だったが緊張からだと思っていた。
しかし実際は違っていた。リアナは未来の夫とはいえ初めて会う男を警戒していただけなのだ。
自分にとって運命とも言いたいほど強烈だった出会いが、リアナにとっては何の印象も無かったことに激しく落胆した。