クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
リカルドの気落ちを察したのか、リアナが再び頭を下げる。
『あの、本当に申し訳ありません。私失礼なことをしてしまって』
『……いや気にしなくていい。トレド騎士団長の屋敷には部下の騎士が大勢出入りしていたのだから、覚えていてなくても無理はないだろう』
なんとかそう答えたが、内心はどん底の気持ちだった。つまり自分は彼女にとってその他大勢の騎士の内のひとりだったということなのだから。
『……申し訳ありません』
恐縮するリアナを促し、ベッドの端に座らせる。
『もういいんだ。だが君にとって俺は見知らぬ男だったということになる。結婚も勇気がいることだっただろう……大丈夫か?』
これから初夜を迎えるにあたって、彼女はどう思っているのだろう。
覚えてもいなかった男が相手で、辛くはないのか?
不安を覚えながら答えを待っていると、リアナは決意の籠ったしっかりした目を向けて来た。
『私は旦那様に感謝しています。王命とはいえ、父を亡くし何の後ろ盾もない私を娶って下さったのですから。精一杯恩を返して行きたいと考えています』
毅然としたその姿を見て、理解した。
リアナはこの結婚に個人的な感情を持っていない。王命だから従ったまでなのだ。
そして自分の不安定な立場をよく理解していて、リカルドに感謝を述べて来る。
リカルドの胸中に鈍い痛みが広がった。まるで失恋したような気持ちになった。
目の前に愛する女性がいるのに、手放しで喜べない。
貴族として結婚の義務を果たそうとベッドに横たわるリアナに、秘めた想いをぶつける事は出来なかった。
愛していると心のまま伝えたいのに、なぜだか感情のまま動けなかった。
淡々と初夜を終え、疲れて眠った彼女をようやく強く抱きしめた。
『あの、本当に申し訳ありません。私失礼なことをしてしまって』
『……いや気にしなくていい。トレド騎士団長の屋敷には部下の騎士が大勢出入りしていたのだから、覚えていてなくても無理はないだろう』
なんとかそう答えたが、内心はどん底の気持ちだった。つまり自分は彼女にとってその他大勢の騎士の内のひとりだったということなのだから。
『……申し訳ありません』
恐縮するリアナを促し、ベッドの端に座らせる。
『もういいんだ。だが君にとって俺は見知らぬ男だったということになる。結婚も勇気がいることだっただろう……大丈夫か?』
これから初夜を迎えるにあたって、彼女はどう思っているのだろう。
覚えてもいなかった男が相手で、辛くはないのか?
不安を覚えながら答えを待っていると、リアナは決意の籠ったしっかりした目を向けて来た。
『私は旦那様に感謝しています。王命とはいえ、父を亡くし何の後ろ盾もない私を娶って下さったのですから。精一杯恩を返して行きたいと考えています』
毅然としたその姿を見て、理解した。
リアナはこの結婚に個人的な感情を持っていない。王命だから従ったまでなのだ。
そして自分の不安定な立場をよく理解していて、リカルドに感謝を述べて来る。
リカルドの胸中に鈍い痛みが広がった。まるで失恋したような気持ちになった。
目の前に愛する女性がいるのに、手放しで喜べない。
貴族として結婚の義務を果たそうとベッドに横たわるリアナに、秘めた想いをぶつける事は出来なかった。
愛していると心のまま伝えたいのに、なぜだか感情のまま動けなかった。
淡々と初夜を終え、疲れて眠った彼女をようやく強く抱きしめた。