クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
翌朝早速後悔した。

なぜもっと優しくしてやれなかったのか。

リアナとの気持ちの隔たりを知り、落ち込んだからと言って狭量な態度だったと反省した。

彼女に好かれていなかったとしても、自分は愛情を正面から伝えよう。

そう決意したが、それよりも先にリアナが話しかけてきた。

『旦那様、おはようございます』

『ああ、おはよう。昨夜はよく眠れたか？』

『はい。あの昨夜は言えなかったのですが、失礼な態度を取ってしまい申し訳ありませんでした』

リアナは不安そうに眉を下げる。
リカルドを忘れ去っていたことについて、罪悪感を持っているようだった。

『気にする必要はない。俺のことはこれから知ってくれたらいい』

リアナは少し驚いたようにしながらも、頷いた。

『はい。あの、私は本当は騎士に嫁ぐはずだったのです。思いがけず高位貴族の旦那様の妻になり、分からないことだらけです。でも少しずつ勉強したいと思っています』

リアナにとって他意はなかったのだろう。ただ事実を淡々と述べているだけ。

しかしリカルドにとっては聞き捨てならない言葉だった。

『騎士との婚約の件はトレド騎士団長に聞いたことがあった。だが話が進んでいたとは知らなかった。リアナはその騎士と結婚する気だったのか？』

ユベルが決めただけでなく、リアナ自身も乗り気だったのだろうか。

『はい。幼い頃からお父様のような騎士の花嫁になるのが夢でしたから』

リアナは幸せそうに微笑み、リカルドは地の底に突き落とされたような気持ちになった。
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