クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
ユベルが進めていたバリーとの結婚は、リアナも望んだことだったのだ。
『……そうか……すまなかったな……』
自分などが相手になって。考えてみればこの結婚はリアナの気持ちは一切無視して纏まったものだ。たとえ嫌でも彼女の立場では断ることは出来なかった。
リカルドは自分の欲望の為に、リアナの自由を奪ってしまったのだ。
それなのに自分は呑気に幸せを感じていた。
『旦那様?』
リアナは不思議そうに首を傾げる。
その愛らしい姿に胸が痛む。彼女の望みを叶えてやりたいが手放せない。
その代わり無理に気持ちを押し付けるのだけは止めようと決意する。
『何でもない』
僅かに笑みを浮かべ答えれば、リアナは困ったように眉を下げる。
『でも……なんだか元気が無いように見えます。私が何か旦那様の気に障る事を言ってしまったのではありませんか?』
『そんなことは無い。ただ今後は旦那様ではなくリカルドと呼んでくれないか?』
せめてもの願いだった。リアナはこくりと頷くと『はい、リカルド様』と声にした――――。