クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
「バリー・アリソンという兵士を探している」

シャルノはぴくりと眉を上げる。

「バリーって、平民出で騎士叙任目前までいった男だろ?」

「そうだ。彼も襲撃時に行方不明になっている。新しい情報が無いか再度確認してくれ」

「新しい情報は無いと思うけど。まあでも確認してみるよ」

「頼む」

リカルドは椅子を鳴らし立ち上がると、無造作に放り投げていた上着の袖に腕を通す。

「待ってくれ、もう一つ報告がある。また人が消えたらしい」

シャルノの言葉に、リカルドはぴたりと動きを止め、眉間にシワを寄せた。

「またか。それで今度はどこだ?」

「王都の西のはずれ。トレド前騎士団長の屋敷だった辺り」

リカルドは僅かに瞠目した。リアナの住んでいたトレド家の屋敷は端とはいえ、貴族街に建つ。

「貴族が消えたのか?」

これまでの行方不明者は皆平民だった。

シャルノは表情を引き締めた。

「そう。かなりまずい状況だよ」

「分かった。早々に動いてくれ」

「了解」

シャルノは踵を返し部屋を出て行く。その後を追うようにリカルドは月光宮へ向かった。
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