クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
トリアでの生活は規則正しいものだった。

朝早く目覚め、日差しが強くなる前に領主館の庭を散歩し、朝食を頂く。

日中は読書と勉強をし、夜は早めに眠る。

健康的に過ごしている為か、お腹の中の子は順調に成長しているようだった。

ある日自室で日課となった読書をしていると、ダナが駆け足でやって来た。

「リアナ様!」

彼女がこれ程慌てるのは珍しい。リナアは小さく首を傾げた。

「どうかしたの?」

「明日、旦那様がこちらにいらっしゃると知らせが参りました」

リナアは目を丸くして、声を大きくした。

「本当に?」

「はい、既に昨日王都を発ったそうです」

「昨日?」

それならなぜ到着が明日になるのだろうか。

王都からトリアまでは馬を駆る騎士ならば一日で到着するはずだ。現に知らせを届けた先ぶれはもう到着しているのだから。

(リカルド様は馬車で来るのかしら。でもどうして?)

馬で駆けた方が格段に早いのに。

気になったが、ダナの声で思考を中断された。

「リアナ様、良かったですね」

「あ、ええ。本当に」

「旦那様をお迎えする支度をしなくてはいけませんね」

「あ、そうね。時間もないし急がないと」

座っていたソファーから立ち上がり、領主館の使用人たちにも知らせる為部屋を出る。

気がかりはあるが、久々に夫に会えると思うと心が弾むようだった。

翌朝。

リアナはいつもよりも早く起き、身支度を始めた。

身体を清め、久々に華やかなドレスを身に付ける。


三月ぶりに夫に会うのだと思うと、少しでも身綺麗にしたかった。

太陽が真上に上がった頃、領主館の窓から、騎士の一行が近づいて来るのが見えた。

街道に繋がる道を、馬に乗った騎士達が占領している。馬上の騎士の背後には、立派な馬車が続いていた。

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