クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
彼はエルドラ王女を伴いリアナの元にやって来た。

「リアナ……久しぶりだな。こちらに来るのが遅くなってすまない」

三月ぶりに会う夫を前に、リアナの胸中は激しく揺れていた。

(どうしてエルドラ王女が一緒なの?)

再会の喜びが瞬く間に不安に変わっていく。

黙ったままのリアナに、リカルドが怪訝そうに問いかけた。

「リアナ?」

「……あ、あのリカルド様お久しぶりです。お変わりない様で良かったです」

動揺している為、拙い言葉しか出て来ない。そんな自分に情けなさを覚えていると強い視線を向けられていることに気が付いた。

そちらに目を向ければ、エルドラ王女が、値踏みするようにリアナを窺っている。

気圧され息を呑んでいると、リカルドの声が耳に届いた。

「エルドラ王女殿下、妻のリアナです。お見知りおきを」

エルドラ王女は鷹揚に頷いた。

「エルドラ・ヴァレーゼよ。しばらく面倒になるわ」

リアナが返事をする前に、リカルドが咎めるような声を出した。

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