クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する

産まれてくる子供のことを思うと幸福を感じ自然と頬が緩む。

そのとき慌ただしい足音が聞こえて来た。

ベルグラーノ家の使用人とは思えない乱れた足取りだ。

「何事かしら？」

リアナが呟いたのと同時に、部屋の扉を叩く音が響く。

ダナが素早く対応し扉の向こうの相手と短い会話を交わし戻って来た。

「どうしたの？」

「旦那様がお戻りだそうです。リアナ様にお話があるそうで、あと少しでこちらにいらっしゃるとのことです」

「え、こんな時間に？」

リアナは驚き、高い声を上げた。

騎士団長のリカルドは忙しく、朝早くから日が沈むまで騎士団本部に詰めているため、こんな時間に戻って来るのはとても珍しいのだ。

それ程の急ぎの用件があるのだろうか。

予測はつかなかったが急ぎ夫を迎える準備をする。

リアナは素早く身だしなみを整え、その間ダナは部屋に乱れがないか確認する。

そうこうしていると、本当に直ぐにリカルドはやって来た。