クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
食堂には時間より早く着いたのに、既にリカルドとエルドラ王女が席に着いていた。

上座はエルドラ王女。豪奢な深紅のドレス姿で強い存在感を放っていた。リカルドも
着替えを済ませている。
衣装はシンプルなものだが、生まれ持った華やかさゆえか、彼も王女に引けをとらない輝きを放っていた。

ふたりの迫力を前に、リアナの自信などあっという間にしぼんでしまった。

「遅くなり申し訳ありません」

気後れしながら、急ぎ用意されていた席に着く。

「リアナ慌てるな。時間通りで遅れていない」

リカルドの優しい声が届く。

「はい」

「一人で来させて悪かった」

「いいえ、私は大丈夫です」

このような食事の時、通常は夫が妻をエスコートする。

しかし今夜はエルドラ王女が居る為、彼はリアナを迎えに来れなかったのだ。

リアナが落ち着くと、食事が始まった。

視界に入るエルドラ王女とリカルドの所作は優雅で、身分と教育の高さが伺えた。

リアナもマナー教育は受けているが、実際の経験が少ない為、あまり自信が持ずにいた。

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