クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
「ダナ?」

ゆっくりと足音の方を見たリアナは、そこに居た人物が誰なのかに気付き、慌てて姿勢を正した。

(エルドラ王女……リカルド様と出かけたのではなかったの?)

今朝のエルドラ王女は深みのある緑色の、一目で上等と分かるドレスを身につけている。

館の中だからか見事な黒髪はまとめず、自然に背中に流したままだ。

リアナは深く礼をし、王女から言葉がかかるのを待つ。凛とした声が響いた。

「ごきげんよう。顔を上げてちょうだい」

「はい、エルドラ王女様」

リアナはゆっくりと顔を上げる。

「お加減はどう?」

「回復いたしました。また昨夜のご無礼をお詫びいたします。大変申し訳ございません」

エルドラ王女と対峙すると、激しい緊張感が襲って来た。

相手が王族であることへの畏れだけではなく、リカルドの愛する女性だと思うと嫉妬心が湧き、何も知らないふりが出来なくなりそうだからだ。

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