クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
「王女様のおっしゃる通りです」

「あら、認めてしまうの?」

エルドラ王女は意外だとうでも言うように、美しいカーブを描く眉を上げる。

「事実ですので」

「情けない方ね。けなされているのに反論一つ出来ないなんて。本当にリカルドには相応しくないわ」

「…………」

自分でも情けないと思う。それでもどうすることも出来ない。

(この方はお父様が命をかけて仕えた王家の姫君。そしてリカルド様の愛する人なのだから)

リアナのちっぽけな自尊心や、一時的な感情の高ぶりで責めて良い相手ではない。

沈黙を続けるリアナに、エルドラ王女は一段と声を大きく言い放った。

「私はリカルドが好きなのよ」

はっとしてリアナは顔を上げた。エルドラ王女の漆黒の瞳と視線が重なる。

「他の人に嫁ぐと決まっていても彼が好きだわ。何の気概もないあなたに彼を渡したくない。あなたはリカルドに相応しくないわ」

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