クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
エルドラ王女は何かを探すように、周囲に首を巡らせながらどんどん池の方に進んで行く。

先ほどの出来事で気まずかったが、万が一池に落ちでもしたら大変だ。

木の影から出て声をかけようとしたとき、池を挟んだ反対側に、何かが反射したような光が見えた。どうやら新な人物が近づいて来ているようだ。

(誰?)

この森は領主館に続いていることから、町の人も遠慮をしてあまり近づかない。

一体誰が来たのだろうと目を凝らす。

少しずつ人影の輪郭がはっきりとして来る。どうやら騎士のようだった。リカルドのものと似た様な軍服を纏い腰にはロングソードを携えている。

(でも、なんだか様子が変だわ)

リアナは、更に良く見ようと目をこらした。

視力は良い方だが、森の木が陰となってはっきりとしない。

それでもどこか妙な気がした。そして大きくなる胸騒ぎ。

(あの人達は本当にヴァレーゼ王国の騎士なの?)

リカルドの部下がなぜこんな何もない森をウロウロしているのだろう。館はすぐそこにあるのに反対方向からやって来るのは不自然ではないだろうか。

エルドラ王女に目を向ければ、騎士たちに気付いた様子はなく相変わらずキョロキョロと辺りを見回している。

漠然とした不安がどんどん大きくなる。自分の勘が正しいのか自信がないが、ここに居てはいけないと反応が告げる。

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