クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
(どうしよう……)
館まではまだ距離がある。
リアナひとりなら逃げきれるだろうが、エルドラ王女を連れたままでは厳しい。
(先に行って味方の騎士を呼んで来る?……いいえ、そんなこと出来ない)
間に合わなければ王女はただで済まなくなる。
「とにかく少しでも館に近付きましょう」
エルドラ王女の手を引き走り出す。先ほどとは違い引きずるような形になり、リアナにも負担がかかって来る。
王女にはもう自分だけで進む力が残っていないのだ。
それでも他に方法がなく進んでいると、ぜいぜいと呼吸を乱した声が聞こえて来た。
「ね、ねえ。あなた戦えないの?」
「え?」
「敵国から悪魔と呼ばれたトレド騎士団長の娘なのでしょう? あなたも強いのではないの?」
振り返るとエルドラ王女の期待に満ちた瞳と視線が重なった。
「も、申し訳ありません。私は殆ど訓練を受けてなくあの人達に打ち勝つ力はありません」
「そんな……どういうことよ」
落胆の声を吐かれ居たたまれなさが襲って来る。
しかし背後に騎士の姿が映り、それどころではなくなった。
館まではまだ距離がある。
リアナひとりなら逃げきれるだろうが、エルドラ王女を連れたままでは厳しい。
(先に行って味方の騎士を呼んで来る?……いいえ、そんなこと出来ない)
間に合わなければ王女はただで済まなくなる。
「とにかく少しでも館に近付きましょう」
エルドラ王女の手を引き走り出す。先ほどとは違い引きずるような形になり、リアナにも負担がかかって来る。
王女にはもう自分だけで進む力が残っていないのだ。
それでも他に方法がなく進んでいると、ぜいぜいと呼吸を乱した声が聞こえて来た。
「ね、ねえ。あなた戦えないの?」
「え?」
「敵国から悪魔と呼ばれたトレド騎士団長の娘なのでしょう? あなたも強いのではないの?」
振り返るとエルドラ王女の期待に満ちた瞳と視線が重なった。
「も、申し訳ありません。私は殆ど訓練を受けてなくあの人達に打ち勝つ力はありません」
「そんな……どういうことよ」
落胆の声を吐かれ居たたまれなさが襲って来る。
しかし背後に騎士の姿が映り、それどころではなくなった。