ロマンスの王子様
2・私らしく謳歌しよう!
「はっきり言うと、俺は結婚と言うもの自体に興味がない」

いきなりそんなことを言った奥原さんに、私は何を言われたのか全く理解ができなかった。

「きょ、興味がないって…奥原さんは、『小町家』――実家を助けるために結婚を希望したんですよね?」

そう言った私に、
「ああ、お前の実家である置屋には昔から世話になっているからな。

俺が高校生の時から世話になっているから…まあ、少なくとも20年近くのつきあいだな」

奥原さんは言い返した。

「だけど、この件に関しての話は別だと俺は思ってる」

奥原さんはそう前置きをすると、
「俺は仕方なくお前を妻にするだけだ」
と、言った。

「し、仕方なく…!?」

怒りで自分の躰が震えているのがわかった。

「かと言って、俺を恨むのは筋違いだ。

恨むなら、自分の家族を恨むんだな」

この瞬間、私は彼のことを大嫌いな人間だと認識した。
< 11 / 121 >

この作品をシェア

pagetop