ロマンスの王子様
ワッコさんもそうだ。

彼女だってちゃんと打ち明けたから進むことができたのだ。

私も進みたいならば、奥原さんと一緒にいたいならば、打ち明けないといけないのだ。

「明穂ちゃん、いつまでも逃げるのはよくないよ。

奥原さんとちゃんと向きあわないと、いつまで経っても前に進むことができないままだよ」

「…そうですね」

芳樹さんはポンと私の頭のうえに手を置いた。

「勇気がいることだと言うのは、俺もわかってる。

でも、ちゃんと勇気を出して向きあった方がいい」

「はい」

自分の中で覚悟ができてきているのがわかった。

「私、ちゃんと向きあいます」

宣言するように、私は言った。

「奥原さんに気持ちを伝えて、向きあいます」

そう言った私に、
「その意気だよ」

芳樹さんは嬉しそうに笑った。
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