ロマンスの王子様
10・今度こそ、夫婦になろう
自分の家に帰るだけなのに緊張しているって、何だか変な感じだ。

「――大丈夫だ」

自分に言い聞かせるように私は言った。

ワッコさんもちゃんと向きあって打ち明けた。

芳樹さんだって向きあうことが大切だって言った。

「大丈夫」

私はドアを開けると、
「ただいま帰りましたー」
と、声をかけた。

「お帰り」

いつものように奥原さんが私を迎えた。

「奥原さん」

「何だ?」

私は奥原さんの顔を見つめると、
「話があります」
と、言った。

「話?」

そう聞き返してきた奥原さんに、
「大切な話です。

聞いてもらえませんか?」

私は言い返した。

奥原さんはフッと微笑むと、
「わかった、聞くよ」
と、言った。
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