ロマンスの王子様
「えっ…?」

奥原さんが驚いたと言う顔をした。

「私、奥原さんのことが好きなんです…!」

自分の気持ちを打ち明けた。

「好きだから、奥原さんと夫婦になりたいんです。

順番は逆になってしまったけれど、これからは夫婦として一緒に歩きたいと思っています」

私たちの間に沈黙が流れた。

奥原さんが戸惑っているのが手に取るようにわかった。

当たり前だけど、困ってるよね…。

そう思っていたら、
「――参ったな…」

奥原さんが呟くように言って、沈黙を破った。

「えっ…?」

今度は私が驚く番だった。

“参ったな”って、何が?

やっぱり、今さら過ぎるよね。

今の今まで勘違いだったとは言え、奥原さんに嫌な態度をとったんだもん。

そのうえ、告白までした訳だから…我ながら、いろいろと都合がよ過ぎるよ。
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