ロマンスの王子様
「もしかしてとは思うけど…その条件と言うのが、私が奥原さんと結婚をすることなの?」

恐る恐る聞いた私に、
「そうなのよ」

姉は答えた。

「明穂が奥原さんと夫婦になることが条件なの。

そうすれば、『小町家』を助けるって」

母も続けて言った。

『小町家』の援助と引き換えに奥原さんと結婚するって…つまり、早い話が“政略結婚”と言うヤツですよね?

「明穂、お願いよ!」

そのことに対して絶句している私に、姉が声を出した。

「明穂が奥原さんと結婚すれば、『小町家』は経済的な危機を脱することができるの!

『小町家』は畳まなくていいし、預かっている子たちだって…!」

姉は今にも泣きそうな顔で私を見つめている。
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