ロマンスの王子様
3人で食事――と言っても食べていたのは私と芳樹さんだけで、奥原さんはそれを見ていただけだった――を終えると、私たちは中華料理店を後にした。

「それじゃあ、またね」

「お母さんとお姉ちゃんによろしくって伝えておいてください」

ホテルの前で芳樹さんと別れた。

彼の後ろ姿が見えなくなったのを確認すると、隣にいる奥原さんに視線を向けた。

「何だ?」

私と目があったとたんに、奥原さんが言ってきた。

「今後はこう言うことはやめて欲しいなと思いまして…」

そう言った私に、
「何をだ?」

奥原さんは聞き返してきた。

「その…勝手に乱入することです」

そう答えた私に、
「彼も嬉しそうに答えてくれたからよかったんじゃないか?

それにこれは乱入じゃない。

お前の姿を見かけたから声をかけただけだ」

奥原さんは言い返した。
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