ロマンスの王子様
「できれば、無視をして欲しかったです…」

「それだと感じが悪いだろ。

義理のお兄さんの前だったらなおさらだ」

さっきまでは“明穂”と私の名前を呼んでたのに、今ではいつも通り“お前”と私のことを呼んでる…。

たった1つのわずかな違いに、私の胸がチクリと痛んだ。

「とりあえずですけど、今後はこう言うことはやめてください。

私はともかくとして、芳樹さんは結構気を遣ったと思います」

そう言った私に、
「アポを取ればいいのか?」

奥原さんが聞いてきた。

「えっ?」

それに対して聞き返したら、
「3人で食事をする約束をすればいいのかと聞いたんだ」

奥原さんが答えた。

「や、約束ですか?

それは、ちょっと申し訳ないです…」

ジョーダンじゃないよ。

いきなり何を言い出しやがったんだ、こいつは。
< 46 / 121 >

この作品をシェア

pagetop