ロマンスの王子様
「はっ？」

何を言われたのか、全く理解ができなかった。

俺のことが嫌いなのかも何も、むしろ嫌っているのはあなたの方なんじゃないですか？

何も言わない私に、奥原さんは目をそらすと歩き出した。

――俺のことが嫌いなのか？

えーっと、どう言うことなんだ？

私、奥原さんに嫌われているんですよね？

なのに、何でそんなことを聞かれているんだ？

奥原さん、私のことが好き…とか？

「んな訳ないか」

結婚に興味がないだの仕方なく妻にしただのとその他にもプライドがズタズタになるくらいにめちゃくちゃなことを言ってきたのだ。

「考え過ぎにも程があるか」

そう結論づけると、私は歩き出した。

だって、愛だとか恋だとかそんな理由で結婚した訳じゃないんだもん。
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