ロマンスの王子様
その時だった。

「明穂か?」

…あれれ、デジャヴか?

嫌な予感を感じながら振り返ると、
「奥原さん…」

奥原さんだった。

「えっ…」

「奥原さんって…」

「アキポンの旦那さんだよね?」

彼の登場にそれまでの楽しい空気は一変した。

ま、マズいぞ…。

「あの、仕事なんですよね…?」

恐る恐る、私は聞いた。

まさか遊びでここにいる、ましてや私の後をついてきたなんて思いたくない!

「ああ、仕事だよ。

ここの商業施設は『奥原グループ』がやっているんだ。

今日はその視察できているんだ」

奥原さんが答えた。

ま、マジかよ…。

衝撃的なその事実に、ただただうろたえることしかできない。

すごいな、『奥原グループ』と言うヤツは…。
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