ロマンスの王子様
「いいなー、ウチの旦那と取り替えてほしいよー」

ヤンヤンはうらやましそうだ。

ぜひとも取り替えましょう!

そして、ヤツの性悪さをよーく知ってください!

喉までその言葉が出かかったが、何とか飲み込んだ。

言った時点で謙遜してるだの贅沢だとの言われることは目に見えている。

本当に、一体何だって言うんだろう…。

私、奥原さんに嫌われているんですよね?

好きじゃないどころか嫌われてると言うレベルなんですよね?

――俺のことが嫌いなのか?

奥原さんのあの言葉が頭の中に浮かんだ。

嫌いなのは、奥原さんの方ですよね?

私のことなんか何とも思っていないんですよね?

「まだ収納ケース、決まってないよね?」

「そうだ、他も見に行こうか」

私たちは椅子から腰をあげると、フードコートを後にした。

本当に、奥原さんがわからない…。
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