ロマンスの王子様
奥原さんは椅子に腰を下ろすと、
「お前と話がしたい」
と、言った。

「話ですか?」

私は驚いて聞き返した。

話がしたいって、私とですよね?

でも、何で?

私と話をして、何のメリットがあるって言うんだ?

「話と言うか、聞きたいことがあるんだ」

「聞きたいことですか?」

何を私に聞きたいと言うのだろうか?

そう思っていたら、
「お前は、どうして俺のことを嫌っているんだ?」

奥原さんが聞いてきた。

「…はい?」

えっ、デジャヴ?

「俺の思い違いだったら、それは申し訳ない。

だけど、お前が俺のことを嫌っているような気がして仕方がないんだ」

――私が奥原さんのことを嫌ってる…?

まあ、嫌っていると言えば嫌っているけれど。
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