ロマンスの王子様
「明穂?」

何も言わない私に、奥原さんが名前を呼んだ。

2人の時に名前を呼ばれたのは、今回が初めてだ。

「――き…嫌いじゃなくなったのは、確かなことです…」

私は呟くように、奥原さんの質問に答えた。

「と言うか、勘違いだと言うことがわかりました…」

そう答えた私に、
「それじゃあ、俺のことが好きと言うことでいいのか?」

奥原さんが続けて聞いてきた。

「えっ、す…!?」

今、何を言ったんだ!?

私の聞き間違いじゃなかったら、“好き”と言ったような気がするぞ…!?

「お前は俺のことが好きか?」

…ああ、私の聞き間違いじゃない。

と言うか、何ちゅーことを聞いてくるんだ…。

心臓がドキドキとうるさいくらいに鳴り始めた。
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