ロマンスの王子様
自室に到着すると、
「ご飯は?」

奥原さんが聞いてきた。

「食べてきたからいらないです。

もうお風呂に入って寝ますからどこかへ行ってください」

私はドアを開けると、滑り込むように自室に入った。

バタンとドアを閉めると、私は息を吐いた。

「何が“お前は俺の妻だなんだから”だ。

そんなこと、微塵にも思ってないくせに」

私は呟くと、ベッドのうえにカバンを投げ捨てた。

「初対面の時にあいつに言われたこと、絶対に忘れないんだから。

と言うか、今でも覚えてる。

一字一句間違いなく言える自信があるわ。

あいつが亡くなる直前に枕元で言ってやるって決めてるんだから」

フンと私は鼻息を吐くと、ベッドのうえに横になった。
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