ロマンスの王子様
私と奥原さんの関係は、いわゆる“夫婦”である。

でも私たちの間に愛だとか恋だとかは存在していない。

そもそも、愛だとか恋だとかそんな理由で結婚した訳じゃない。

第一、向こうは私のことなんて好きじゃない…いや、嫌っているくらいである。

私も彼のことは好きじゃないし、夫だとも思っていない。

この先も彼との間に恋や愛は芽生えないし、好きにもならないだろう。

彼はお金を稼いでくれる、ただのルームメイトだ。

「基本は私の好き勝手に生活しているしね」

私はベッドから起きあがると、部屋の中を見回した。

フィギュアにぬいぐるみ、壁には大好きなアニメのキャラクターのタペストリーやステッカー、コルクボードにはキャラクターのラバーストラップやアクリルキーホルダーが飾られていた。
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