ロマンスの王子様
「すみません、本当に離してもらえませんか?」

これ以上繋がれてしまったら、彼に伝わるのも時間の問題だろう。

「断る」

奥原さんはそう言うと、私の手を引いた。

「えっ、ちょっと…」

私は彼に手を引かれるままついて行くことしかできなかった。

「どこか見に行きたいところがあるか?」

奥原さんが聞いてきた。

「…特にはありませんが」

私が答えたら、
「食べたい物とかは?」

続けて奥原さんが聞いてきた。

「…それも特には」

と言うか、さっきのコラボカフェでだいぶ食べてきました。

「それは困ったな…」

私の答えに奥原さんは呟いた。

「じゃあ、やめますか?

元々そんな予定じゃなかったんですよね?

なので、無理しなくていいですから」

そんな彼の様子に私は言った。
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