ロマンスの王子様
「どうせ結婚するんだったら、デートの1回や2回をすればよかったなって」

「…えっ?」

思わず聞き返した私に奥原さんはストローをすすった。

「お互いのことを何にも知らないまま結婚をした結果、お前に勘違いをさせることになったなって」

そのことを思い出したと言うように、奥原さんは息を吐いた。

「いや、それに関しては私が勝手に勘違いをした訳でして…と言うか、奥原さんも勘違いを招くようなことを言ったじゃないですか」

「それは俺も悪かったと思ってる。

だから、そのためにもデートをすればよかったなって」

「もしかしてとは思いますけど、それでデートを思い立ったんですか?」

私の質問に、奥原さんは首を縦に振ってうなずいた。
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