ロマンスの王子様
「ただ何をすればいいのかわからなかったが」

奥原さんはブラックティーをすすったが、ズズッ…と音がした。

視線を向けると、全部飲み干してしまったみたいだった。

自分でも気がつかなかったらしい。

奥原さんはストローを離すと、コホンと咳払いをした。

しっかりしているように見えるけど、実は意外にもおっちょこちょいなところがあるようだ。

「次にしませんか？」

そんな彼に向って、私は言った。

「日時や行き先をちゃんと話しあって決めて、それからデートをしましょう」

そう言った私に、
「いいのか？」

奥原さんが確認をするように聞いてきた。

「そこまでデートをしたいと言うならですけれども」

そう言い終えると、私はカプチーノをすすった。

我ながら何をしているんだろうな、本当に。
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