Match maker
「自分の気持ちを押し付けるばかりだったかと…雅実の気持ちも、分からなくて…」

【はぁ、自分の気持ちにパニックってる奴が人の気持ち分かるわけないやろ、ボケ!答えがお前ん中にあるわけないやろ、答えは横にしかない】

そう言って、小さなレーザーを私の方へ当てた。

田中さんが私の方を見ると

口をへの字に曲げて、自信なさげに俯いた。

あれ…

何かを間違えた。

彼も、私も。

それに…この人、随分といけ好かない男だったはず。
意気消沈が目に見えて…

ちょっと可愛い…。

【雅実はぁ?】

「は、はい!」

茶缶相手にビビる大人二人。

「…実雅さん、彼女…いらっしゃいますよね?」

「…彼女?she?」

「いや、恋人」

「…雅実のこと?」

「え、私はあなたの恋人ではありませんけど?」

田中さんは、意気消沈の上にもう一つ意気消沈が乗ったくらいのガッカリした顔。

「…いない。」
< 107 / 187 >

この作品をシェア

pagetop