Match maker
「…俺が悪いのは、分かる。だけど…どうしてそう…」

少し考える素振りをした後に

「僕はあなたが好きです。」

いつかと同じセリフ。

それから…いつかとは違う…目。

だけどあの頃よりずっと悲しそうな目でそう言った。

「…伝えたはずで…伝わってると思ってた」

「変わったのかなって…」

「そんなに簡単に変わるなら、結婚なんて出来ないね。こんな短い期間で変わると…思われてるんだ」

……。

申し訳なってくるほどの彼の顔に…胸は痛んだけれど

「…私も、あなたから何も言われてない事を信じたのは馬鹿でしたが、女性と二人でいたら誤解もするし…彼女は若くて、とても可愛い人だし。私に聞かれたくない話を二人でするようなことや、私との事を彼女に話すのは…気分が良くないです」

「…彼女から何か言われたと?」

『年老いたブス』と…

『結婚に焦ってる』と…

『分不相応』と…

あと、なんだっけ?

流石に自分からは言えないな…

「…それに、最近、連絡もなかったし、彼女と一緒にいる説明もなかったし…マッチング中なのか、付き合ってるのかも…よく分からなくなって…」

簡単に言うと

他人に言われた事と

自分でもやもやした事で

もう駄目だって、なった。

田中さんは何もしてない。

少なくとも本人はそう思っている以上、何もないのと同じ。

この会わない間…

田中さんにとっては、何も無かった。

そして、今日私から“NO”を言い渡されている状況。

あのロードバイクの日からすれば…

彼は順調だと思っての…この状況ならば…

彼は今、混乱の中なのだろうか。

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