Match maker
「雅実は、他の人とも…マッチング出来た。俺がたまたま先にしていたから、そっちの男性としなかっただけで…」



“たまたま”

それだけに過ぎない。

俺がこう言っても、雅実もそれを否定はしなかった。





【ああ、確かにな。どうする、会うか?】



彼女は返事を濁したけれど…





「会えばいい。別に、顔だけで、俺はここにいるわけだし」



最初から分かってた。

それなのに今更、妙に引っかかる。



雅実は俺の顔が好きなんだ。





雅実からは、まるで俺もそうであるように責められ、お互いの苛立ちをそのままぶつけそうになった時





0に再び手を取るように言われた。





0に言われるまま、雅実の手を取り、指を絡めた。





「…いいもんだね」



手から伝わる熱が、刺のある心を丸くしてくれる。





【手を繋ぐとか、ふれあいながら喧嘩は出来へんもんや。気持ちが和らぐからな。じゃあ、そろそろ、雅実の話を聞こうか】



0の言った通りだった。

和らいだ心では、相手の話を聞こうという気持ちになる。



元より、聞かなくては…

彼女の言っている意味も分からないのだけれど。









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