Match maker
『顔だけで、俺はここにいるわけだし』



……田中さんもそう言ってた。



「顔は大事だよ、表紙みたいなもんだからね。だけど、表紙に期待をしすぎるとどんどん価値が無くなって…やがて表紙さえショボく見える。もしくは、見かけ倒しなんてね」



確かに、田中さんの中身は……

思っていたのと違った。

それはもう、1ページ目から。



だけど…会えば会うほど…



“顔だけ”じゃないって…思う。



「イケメンも大変なんですね」



「あはは!いや、中身を磨けばいいだけで…あ、また自惚れ?イケメンって俺の事って認識でいいよね?」



「香川さんはどう見てもイケメンですよ。自由恋愛しないんですか?」



「ん、するよ。そっちに縁があればね。だけど0(こっち)も経験しておこうと思って」



私と会うくらいだ…この人もきっと…



「香川さんから条件は出してらっしゃらないんですよね?」



「うん、必要ないからね」



「沢山の希望者で大変なんじゃないですか?」



「……否定はしない。けど、条件出しちゃうとさ…フェチとか性癖とか細かく言うともうね、すんごいよ、俺。狭い。だけど……雅実ちゃん、今まで好きになった人、条件網羅してる?」



……今まで…



イケメンかも怪しいな、確かに。

好きだからイケメンに見えてたわけで……





「いいえ」

正直にそう答えた。
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