Match maker
【実雅です。出ますか?】



「勿論」





『日曜、会いたい』

そう言ってくれた田中さんに



『私も』

そう答えた。





日曜日まで、待てないなんて…

流石に言えはしなかったけれど。



それに、どのみち準備が必要だった。

“心の準備”が。





【「私も実雅さんと同じくらい、あなたが好きです」さ、どうぞ】



「わっ、たしも…さささ」



【このポンコツ!】



「ちょ、ゼロちゃん!何て言ったらいいのか分からないのよ。どうしよう、どうしよう!」



【ですから、台詞もゼロが考えて、差し上げています。復唱することも出来ないのですか?】



「だって、今私の方が好きだと思う。田中さんより私の方が絶対好きだよ!あ!同じ比重じゃないじゃん!一生成婚出来ないじゃん!」



【少しくらいの誤差はオマケして差し上げますから、落ち着いて】



「オマケしてくれんの!?ゼロちゃーん!」



抱き付きたいところだが、茶缶サイズなので仕方なく両手で持った。



「何か大して好きじゃない時の方が“好き”って言えた気がする!本気で好きなったら逆に、言えない!みたいな?」



【“同じ比重”での“成婚”において、“大して好きじゃない”告白に意味がありますか?】



「あ、本当、そうね」



【このポンコツ!!】





日曜日までに、罵声を浴びながら

良い年して何度も何度も



告白の練習をしました。



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